所得格差・学力格差・著作権

評論の載っていない赤本?」という記事の中で僕は、入試過去問集に著作権料が上乗せされれば、受験生の経済的負担が増すことへの不安を記した。また、「やはり評論の載っていない赤本が出た!」という記事の中で、デジタルディバイドの問題についてもふれた。できることならば入試過去問は平等に受験生の手に渡るような環境が望ましい。

*学力二極化、6割感じる 大半が「所得格差が原因」
http://www.excite.co.jp/News/society/20060527171019/Kyodo_20060527a464010s20060527171021.html

「所得格差による学力二極化」という問題は、僕も日々現場で感じている。だが、まだ塾や予備校に通える子はいい方だ。

正直言って、僕ら講師は激しい競争の中で授業技術を磨かざるを得ない世界にいる。実力無き者は生き残れない世界で、「受験指導」という事についてはそこらの学校の教師とは比べ物にならないノウハウを持っている。(学校の先生の中にも受験技術指導に長けている方がいらっしゃると思いますし、また学問的・人間的に優れた方もいらっしゃることかと思いますが…。)

金銭的理由で塾や予備校に通えず、このノウハウに触れることができない子は、正直言ってハンデを課せられていると僕は実感する。僕自身は不幸にして、学校の先生から「学問的」にも「人間的」にも「受験技術」においても、全く感銘を受けることはできなかった。浪人して通った予備校で初めて開眼したのだ


実は当時の僕は「特待生」という特権を使って、たまたま金銭的負担が限り無くゼロに近い予備校生活を送る事が出来た。もしあの時に「特待生」になれなかったら、今頃は大学にも行けぬまま全く違う人生を送っていたかもしれない。

所得格差は少なからず、学力の格差に結びつくと思う。だからこそ、もうこれ以上受験生の経済的負担を増すことがない方向で「入試過去問と著作権」の問題が解決することを僕は望む。

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http://d.hatena.ne.jp/phenotex/20060201