早稲田政経で大学作成の文章が出題!

以前に「書きおろしの文章集は作れないのか?」という記事の中で、入試のために大学側が文章を書き下ろすべき旨を書いたが、2007年度版の赤本で確認したところ、どうやら早稲田大学政経学部は遂に「大学作成の文章」を入試に出題したようだ。

入試に向けて書き下ろされたと思われる文章は全3問中の3問目。「知のあり方」「科学史」「真実の相対性」などについて、論じた文章で、まさに入試現代文の頻出テーマを扱っている。

今回の早稲田政経においては、さらに「長谷川天渓が大正三年に執筆した文章」が出題され、これまた僕が以前に書いた「没後五十年の作家を中心とした出題を」を満たしてくれる傾向となった。

早稲田政経は従来、現代作家による、やや難解な評論文を出題の中心にしていた。だが、2000年以降、明治期の文章が出題されるようになり、そして今回遂に「書き下ろし」での出題が行なわれた。この傾向の推移にはどのような理由があるのだろうか。著作権問題が関連しているのだろうか?

いずれにせよ、この早稲田政経の出題傾向は今後の入試現代文の姿の一つの型と成り得るものであると思う。このような出題傾向が大学入試全般に強まっていけば、入試問題の著作権をめぐって作家と無駄な争いをする必要はなくなり、教育現場における混乱も避けることができるようになるだろう。これはこれで歓迎すべきことだと思う。