別役実氏「著作権保護期間の延長、議論を尽くせ」

興味深い記事を見つけた。あのセンター評論文第1問を各所から「削除」に至らしめた別役実氏著作権の保護期間の延長に対して「慎重論」の立場から団体(「著作権保護機関の延長問題を考える国民会議」)を結成したということだ。

itmedia Newsは別役氏の言葉を掲載している。


著作権保護期間の延長、議論を尽くせ」――クリエイターや弁護士が団体発足」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0611/08/news103.html

>別役さんは、「銀河鉄道の夜」の戯曲化の経験から、延長に反対する理由をこう語る。
>「銀河鉄道の夜はかなり以前から戯曲化したいと思っていたが、宮沢賢治作品の中でも特にガードが固く、許可がもらえなかった。死後50年経ってやっと使えるようになり、まずアニメのシナリオにし、戯曲にした。このように活用されることで、作品も活性化されたのでは。著作権法保護期間が切れるということは、私財が公共の物になるということ。自分の戯曲も含め、公共物になる時期は早いほうがいいと思う」(別役さん)


asahi.com」にも同様のニュースが掲載されている。↓

>著作権の保護期間延長に慎重論議を 別役実氏ら申し入れ

 評論家の山形浩生氏や劇作家の別役実氏ら文化人や弁護士64人が8日、小説や音楽などの著作権の保護期間の延長を性急に決めないよう訴える団体を結成した。日本文芸家協会などが死後50年から70年への延長を訴えていることに対抗する動きで、同じ著作権者側がまとまって「慎重論」を表明したのは初めて。同日、代表者らが国民的な議論を尽くすよう文化庁に申し入れた。
 別役氏らは都内で会見を開き、保護期間の延長によって、過去の作品を元に新たな作品が生まれるという文化創造のサイクルが断たれてしまう恐れがあることなどを指摘した。団体には他に作家の佐野眞一氏、批評家の東浩紀氏、劇作家の鴻上尚史氏、映像作家の高城剛氏らが参加している。
http://www.asahi.com/culture/update/1108/018.html

この著作権保護期間の問題については、入試問題での文章使用に対して比較的柔軟な日本文芸家協会が「70年」派、入試問題での文章使用に対して厳しい立場を取っている別役氏の方が「50年」派というわけだ。両者の立場を考えると、

別役氏=生きている作家の文章は入試で使うな! でも死後は自由に使っていいよ。
文芸家協会=生きている作家の文章も亡くなった作家の文章も「金を払って」使ってね。

ということになるのであろうか?今後の動きに着目したい。

当blogの主旨はこちら↓

http://d.hatena.ne.jp/phenotex/20060201