入試過去問と著作権

大学受験を体験した者ならば誰でも知っていると思われる入試過去問集「赤本」が訴えられた!

http://www.jvca.gr.jp/news/news04/jvcanews04_06.html

これは塾・予備校などに携わる者には非常に大きな衝撃となった。だが実は既に赤本が訴えられる以前にその予兆となるような動きはたくさんあった。下記URLを見れば、赤本に至るまでに様々な塾・予備校・教育系の出版社が訴えられていたことが確認できる。

http://www.jvca.gr.jp/news/index.html

この動きのせいで、長文の削除された国語過去問集が作られたり、また国語の入試問題集の出版を取り止める出版社も出ている。また塾・予備校では受講者に対して過去問対策を行なうこともままならず、指導上で様々な問題が生じてきている。

日本ビジュアル著作権協会」という団体の主張をひと通り読んだ上で、僕はこの問題については、「日本ビジュアル著作権協会」は、「やり過ぎだ」という感を持った。下記ブログでも同様のことを思っている方がおられるようだが、

http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2005/04/post_7f94.html

正直言って、「そんなところからも金取りたいのかよ?」というのが、僕の「感想」だ。あんまりケチなこと言わないで、使わせてやればいいじゃないのかなと思う。入試問題で作品と出会ったことによって、実際に本を買うという動きをする者は多いが、それによって本来売れるべき本が売れないという事態は想定しづらい。宣伝にこそなるが、著書の販売を妨げる要素はないと思われる。

だが、これまでの裁判の動きなどを見る限りでは、塾・予備校側の旗色はあまり良くないようだ。確かに「法律・権利」ということを考えてみれば、資本主義のこの世界では仕方ないことだ。僕は「著作権を放棄せよ」などと言うつもりはない。

だから、これが時代の趨勢であるならば、それを受け入れた上で、この機会に大学入試の国語の出題の形式を抜本的に改革してしまってはどうだろう。(ここが僕の「主張」だ。)もしこのまま「入試で出題された文章が過去問として入手できない」という事態が続けば今後の日本の国語教育の根幹を揺るがすこととなってしまう。ならば、いっそのこと、もう著作権侵害の可能性を含む現代作家の文章を出題することを止めてしまえばいい。それを補い、より教育効果の高い他の出題形式を取ることも可能だと思う。学力低下、教育格差、ゆとり教育愛国心、美しき日本語…などの昨今の日本の教育における諸問題と合わせてこの問題を解決して行ければそれに越したことはないではないか。

以下にこの問題における僕の思う所を記してみた。引用、リンク、賛同コメント、反論コメント、トラックバックなど自由にしてもらって構わない。(大学、塾・予備校、出版社、受験生、作家、政治家…、皆が真剣に考え、よりよい方向を模索すべきひとつの"社会問題"として様々な人達に認知してもらうために、僕はこのblogを立ち上げたのだ。)


没後五十年の作家を中心とした出題を
http://d.hatena.ne.jp/phenotex/20060124


小論文の出題、哲学を高校の必修科目に
http://d.hatena.ne.jp/phenotex/20060125


明治・大正・昭和初期の小説を出題せよ
http://d.hatena.ne.jp/phenotex/20060126


勝手な解釈をするな!というなら…
http://d.hatena.ne.jp/phenotex/20060127


塾・予備校は学校教育の補完として機能してきた
http://d.hatena.ne.jp/phenotex/20060128


評論の載っていない赤本?
http://d.hatena.ne.jp/phenotex/20060129

漢文、明治文語文の出題を増やせ
http://d.hatena.ne.jp/phenotex/20060130

書きおろしの文章集は作れないのか?
http://d.hatena.ne.jp/phenotex/20060131

過去問の著作権についての様々な視点(リンク中心)
http://d.hatena.ne.jp/phenotex/20060120